歯の神経を取ったのに痛みが続く理由とは?
歯の治療において、「歯の神経を取る治療(根管治療)」は痛みを取り除くための重要な手段です。しかし、神経を取り除いたはずの歯が治療後も痛むというケースがあります。このような症状が起こるのはなぜなのでしょうか?今回は、その原因と対処法について詳しく解説します。
歯の神経を取る治療とは?
根管治療は、虫歯や外傷によって炎症を起こしたり、死んでしまった歯の神経(歯髄)を取り除き、その後の感染を防ぐために歯の内部をきれいに清掃し、詰め物をする治療です。この治療は、歯の痛みを軽減し、歯を保存するための最後の手段といえます。
治療のステップは以下の通りです:
- 歯の神経を取り除く:虫歯菌や炎症が広がらないように、歯髄を除去します。
- 歯の内部を清掃:歯の根の中を徹底的に洗浄し、菌が残らないようにします。
- 薬剤で消毒する:感染予防のため、消毒薬を使います。
- 詰め物をする:清潔になった根管に充填剤を詰めて密閉し、細菌の再侵入を防ぎます。
通常、この治療によって痛みは改善するはずですが、治療後も痛みが続く場合があります。以下にその主な原因を説明します。
神経を取ったのに痛む原因
治療後の一時的な炎症
根管治療の際、歯の内部を清掃したり詰め物をする過程で、周囲の歯根膜や歯茎に刺激が加わることがあります。この刺激が炎症を引き起こし、痛みとして感じることがあります。通常、この痛みは数日から数週間で自然に治まります。
感染が残っている場合
根管治療中に、細かい根管の中に菌が残ってしまった場合や、詰め物が完全に密閉されていない場合、感染が再発する可能性があります。このような場合、痛みや腫れを感じることがあります。
詰め物や被せ物の噛み合わせの問題
根管治療後、詰め物や被せ物の高さがわずかに高い場合、噛むたびに余分な力が加わり、痛みを引き起こすことがあります。これを調整するだけで症状が改善するケースもあります。
周囲の組織の炎症(根尖性歯周炎)
歯の根の先端部分(根尖)に炎症が起きると、歯の神経が無くても痛みを感じることがあります。この原因として、根管治療が完全に完了していない場合や、感染が広がった場合が考えられます。
歯の亀裂や破損
治療後に歯に亀裂が入ったり、見えないレベルの破損があると、痛みが続くことがあります。特に、治療前に歯がかなり弱っていた場合は注意が必要です。
痛みが続く場合の対処法
もし治療後の痛みが数日以上続く場合や、痛みが強くなる場合は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。以下のような追加の治療が必要になることがあります:
- 再根管治療:最初の治療で取り切れなかった感染を再度取り除くため、再治療が行われることがあります。
- 根尖切除術:通常の根管治療で解決しない場合、外科的に歯の根の先端部分を取り除く手術が必要になることがあります。
- 歯の噛み合わせの調整:詰め物や被せ物の高さが原因の場合、歯科医が噛み合わせを調整することで症状が改善します。
- 最悪の場合の抜歯:どうしても歯を保存できない場合、痛みを完全に取り除くために抜歯が必要になることがあります。
痛みを未然に防ぐために
根管治療後の痛みを未然に防ぐには、以下の点に注意することが大切です:
- 治療中に信頼できる歯科医院を選ぶ:精密な治療を行える歯科医師や設備の整った医院を選ぶことが、成功率を高めます。
- 定期検診を受ける:根管治療を終えた歯は弱くなりやすいため、定期的に状態をチェックすることが重要です。
- 早期治療を心がける:痛みや腫れを感じたら早めに受診し、症状が悪化する前に治療を受けましょう。
まとめ
歯の神経を取ったのに痛みが続く場合、その原因は多岐にわたります。一時的な炎症によるものもあれば、感染が残っているケースや噛み合わせの問題など、治療が必要なケースもあります。痛みが続く場合は自己判断せず、歯科医院での診察を受けることが大切です。
歯科治療の成功には患者さん自身の協力も不可欠です。不安なことや疑問があれば遠慮なく相談し、一緒に最適な治療方針を見つけましょう。